パイナップルをめぐる旅2 ワイン&ウォッカ編
2023年05月28日
投稿者:Yuka さん
オアフ島から飛行機で30分、マウイ島はハワイの島々の中でハワイ島に次いで2番目に大きな島。かつては缶詰用のパイナップルが盛んに栽培されていた島でもありましたが、現在は高品質な生食用パイナップルが栽培されています。
前回のコラムでそのMaui Goldというブランドのパイナップルについて話をしましたが、今回は、市場に出荷されなかったパイナップルを含めたMaui Goldをジュースにしてサステナブルに活用している蒸留所とワイナリーに触れますね。
Maui Wine(マウイ ワイン)
マウイ島南部にあるUlupalakua Ranch(ウルパラクア農場)が1974年に立ち上げたワイナリーでは、標高1800フィート(550m)の山の中腹で栽培されているブドウを使ったワインを醸造していますが、Maui Goldのパイナップル果汁を使った世界的にも非常に珍しいパイナップルワインを醸造しています。
パイナップルワインはパイナップルジュースをステンレスのタンクで2週間かけて低温発酵させ、その後3ヶ月〜4ヶ月にわたって澱引き、濾過、熟成等がおこなわれます。樽熟成はさせないので、グラスに注いだ時にフレッシュなパイナップルの香りを強く感じることができます。よく白ワインのテイストを表す時にトロピカルフルーツという表現が使われていますが、このワインはトロピカルフルーツそのものです。
Maui Wineを訪れたら必ず試したいのが、パイナップルワイン3種を飲み比べすることのできるPineapple Tasting(パイナップル テイスティング)。パイナップルのスパークリングワインHula o Maui(フラ オ マウイ)、ドライな飲み口のパイナップルワインMaui Blanc(マウイ ブラン)、甘口なMaui Splash(マウイ スプラッシュ)を$12で楽しむことができます。
個人的におすすめなのはパイナップルのスパークリングワインを使ったHula Hoop(フラフープ)というカクテル。Hula o Mauiにマウイ島で作られているsugar cane dane(シュガーケーン デーン)のリリコイ&パイナップル味のクラフトシロップを合わせたもので、ミモザのトロピカル版といった味わいなので、昼下がりの一杯にぴったりです。
テイスティングルームの営業時間は11時〜17時。運が良ければワイナリーの看板猫がお迎えしてくれるかもしれないです。
Maui Wine
14815 Piilani Hwy, Kula, HI 96790
Hali’imaile Distillery(ハリイマイレ蒸留所) PAU Volka
PAU(パウ)はハワイを代表するクラフトウォッカ。ハワイのレストランやスーパーなどでボトルを見かけたことがあるのではないでしょうか?
ウォッカの原料といえば小麦、大麦、ライ麦などの麦類やじゃがいも、とうもろこしが主流ですが、ハワイではあまり栽培されていないものばかり。そこで目をつけたのがパイナップル。パイナップルのジュースを発酵させてウォッカを作ることができないかと試行錯誤を重ねた結果、現在の市販品となるウォッカ、PAUが誕生したんだそう。
ちなみに、PAUというのはハワイの言葉で、Finish(終わり、おしまい)という意味があるんだそう。現地の人は一日の仕事の終わりに”PAU(今日の仕事はおしまい)“と言ったりするそうです。ウォッカの開発に携わった人々は、これ以上良いウォッカを作ることができないという意味を込めてPAUと名づけたそうです。また、このPAUには隠れた意味もあり、ウォッカのボトルを丸一本飲み干してしまったら、Finished(おしまい)だよねというジョークも込められているんだそう。
上の写真にある、プラスチック製の樽に入っているのがパイナップルジュースを発酵させている様子。興味のある方は蒸留所の見学とテイスティングがセットになったツアーがあるのでウェブをチェックしてみて下さい。時間帯によってはパイナップル農園ツアーとセットで参加することもできます。
Hali'imaile Distillery Tour & Tasting Room
883 Haliimaile Rd, Makawao, HI 96768
https://haliimailedistilling.com/
ハワイに限らずどんな土地を訪れても、地元の農家やレストラン、醸造所などが業界の垣根を越えて様々な取り組みやコラボレーションなどを行なっているのを見るのはとても興味深くて、ビジネスモデルとしても参考になります。
今回はマウイへの旅を通じて、パイナップルを基軸に農園や醸造所などが協力し合ってサステナブルでイノベーティブなビジネスモデルを構築しているのを2回にわたってご紹介しました。このコラムを担当したのはYukaでした。