独立記念日のクラシックカーショー
2023年08月09日
投稿者:Yuka さん
少し前になりますが、July 4th(7月4日)と言えば、アメリカの人々にとってとても大事な独立記念日。そして、独立記念日といえば花火(とバーベキュー)。オアフ島の各地で花火が打ちげられるということなので調べてみると、ノースショアで花火が打ち上げられるとともに、クラシックカーショーが開かれるとのこと。出版社の編集者時代にクラシックカーの撮影に携わったこともあったので、ハワイにはどんなクラシックカーが見られるのか俄然興味が湧き、ノースショアまで観に行ってみることにしました。
イベントが開催されていたのは、ノースショアのハレイワビーチパーク。クラシックカーショーと言ってもモーターショーのように格式ばったものではなくて、芝生に様々な年代の車両が並べられて、オーナーさんがその隣に座って、興味のある方にいろいろと説明しているという極めてアットホームな雰囲気でした。
車両は、日本でもよく見かけるVWのタイプ1(ビートル)などの欧州車からアメリカンマッスルカーまで様々でしたが、なかでも気になったのは日本ではおそらくほとんど目にする機会のないこちらの車両。
1955年式のNash Ambassodor Super(ナッシュ アンバサダー スーパー)
アメリカのビッグ3(フォード、クライスラー、G M)とは一線を画する独立系の自動車メーカーとして名を馳せたAMC(アメリカン モーターズ コーポレーション)が生産していたNash(ナッシュ)のアンバサダー。
ナッシュ アンバサダーのリア。タイヤを傾けると開くトランクが特徴的。
元々はGMの社長を務めたCharles W Nash(チャールズ W ナッシュ)が、1916年に別の自動車メーカーを買収して創業した自動車メーカー、Nash(ナッシュ)。Nash自体は面白いことに1938年に高級家庭用電機メーカーのKelvinator(ケルビネーター)と合併、Nash Kelvinator(ナッシュ ケルビネーター)となります。異業種の合併自体も当時話題となりましたが、電機メーカーと自動車メーカーのノウハウを相互に活かし、エンジン冷却水の排熱を利用した車内用ヒーター(エアコン)を初めて世に送り出しました。現在では当然の装備ですが、当時は非常に画期的な技術でした。
Flying Lady(フライング レディ)と呼ばれているNashのフードオーナメントも優雅。
Nash Kelvinatorはその後も吸収合併を繰り返した末にAMCとなり、Nashはその中のブランド名のひとつとなりました。上にある写真の車種は1955年モデルですが、その2年後の1957年にはNashというブランド名での自動車生産を終了。AMCも1987年にクライスラーに吸収される形で消滅してしまいましたが、アメリカでは現在でも根強いファンがいます。
Nash Rambler(ナッシュ ランブラー)。フロントグリルの形状から判断すると、おそらくこちらも1955年のモデル。
Nashがあまりにも珍しかったのでいろいろと調べてしまいましたが、他にも美しいクラシックカーが多々あったので、写真だけでもお見せしていきますね。
Chevrolet Bel Air(シボレー ベルエア)
エレガントなFord
VW Type 1(ビートル)
VW Type 2のオーナーさんは笑顔がチャーミングな退役軍人の方でした。
このショーを見ていて思い出したのですが、デンマークではアメリカンマッスルカーの愛好者がとても多く、毎週土曜の夜にはコペンハーゲンのMeat Packing District(ミート パッキング ディストリクト)にありとあらゆるアメリカンマッスルカーが集まります。欧州でアメリカンマッスルカーと言うとミスマッチな感じもするのですが、その車種の豊富さはこのショーを凌ぐほどかもしれません。
冷却系や空調などの観点から考えると、ハワイのような常夏の土地でクラシックカーを維持し、ましてやその車両でドライブに出かけることはリスクが高くとても難しいのではないかと思います。だからこそ、オーナーの方々の愛車にかける思いがひとしお伝わるイベントでした。
会場で子供たちに人気だった、ジャグリングをするやたら背の高いお兄さん。
ちなみに、会場内では他にもホットドッグの早食いコンテストが開催されていたり、ネイビーのバンドが演奏していたりと、とてもアメリカらしい雰囲気。
独立記念日だけあって、アメリカンフラッグをファッションに取り入れている方が多かったです。こちらは親子で。
日が沈んだ後には花火が上がるので、皆ビーチ沿いでその時を待っていたのですが、中には待ちきれなくて自分で持ち込んだ花火を打ち上げる人々も。すぐ近くで大きな打ち上げ花火に点火するので、倒れたりしないよねと内心ハラハラしました…。花火は10分程度だったので金曜夜のヒルトンの花火と同じくらいの規模でしたが、独立記念日に花火を見る、ということがアメリカ生活の醍醐味ですよね。
今回のコラムを担当したのはYukaでした。